水産物の安定供給を
昭和22年、北洋漁業が最盛期の頃、道内を基盤とした水産加工品の取扱商社として札幌で発足。その後拠点を函館に移し水産物の製造及び加工販売・輸出入・冷凍冷蔵倉庫での貯蔵保管など、水産総合商社としての事業を展開。近年は、海外にもネットワークを広げ、買付けと輸入にとどまらず、現地プロジェクトに参加し漁場の開拓や畜養の実施など、良質の水産物を確保し安定供給する事業に積極的に取り組んでいる。
より良い水産資源を高品質で提供
「函館と言えば、イカというイメージが強いかもしれませんが、当社では現在、海外事業に力を注いでおり、マグロ事業がその中心です」と話すのは、総務課長の小西英樹さん。アメリカ・韓国・中国に営業所を設立し拠点を確保。世界中でイカはもちろん、マグロやタコ、カニなど様々な良質の水産物を買付けて現地工場で加工、日本向けを中心に輸出している。海外で良い魚が獲れると聞けば、即座に現地視察に向かうという。
モロッコ、メキシコ、マルタ島で展開しているマグロ事業では、現地の企業と合弁会社を設立。捕獲場所とマグロの状態に合わせた独特の加工技術を展開している。例えばマルタ島では沿岸の生簀で3〜4ヶ月畜養し魚質のばらつきをなくす工夫、あるいは生きたまま洋上で加工処理を施すなど、品質を高く保つ方法をとっている。このように最高の状態で捕獲・加工されたマグロは、超低温保冷(-60℃以下)で鮮度を保持したまま全国各地へ出荷されており、最終加工業者からも高い評価を受けている。
「最終消費地は今のところ日本が大半ですが、アメリカや韓国への出荷も増えてきています。さらに多くの海外諸国への販路拡大に努力する毎日です」とのこと。
消費者の手元に届く道水ブランドの確立
平成17年には市内の拠点に大型凍結機を導入し、世界から集められた新鮮な食材は、それらの冷凍・冷蔵施設で厳密な温度調整や衛生管理の下で保管され、函館から全国へ配送されている。「今は変革の時期。業者バイヤーから一般消費者へと販売ターゲットを拡げ、食品加工にも力を入れていきます」と言う。本業は卸売事業ではあるが、消費者に直接販売することによって、消費者のニーズを把握する目的で、海外で選りすぐった食材や日本近海で獲れた新鮮な水産物を吟味買付し、独自のノウハウを駆使して自社工場で製品化、道水ブランドとして全国販売している。平成14年には本社併設の加工製造工場を大野町(現北斗市)に移転。大型の営業冷凍倉庫を隣接した「はこだて工場」で、伝統の技術と最新の設備、清潔な環境の中で、安心・安全な製品づくりを目指す。
一方で通信販売のホームページを開設、EC(電子市場)への取り組みを開始する予定。
食の安心・安全など、トレーサビリティー(履歴管理)の必要性が重要視されている昨今、安全性の確保に万全を期しつつ、独自の加工法とこだわりの味付けで作られる高品質かつ独創的な商品で、広く一般に支持される道水ブランドを確立したいと言う。函館名産のイカを使った全く新しい商品や、高級食材を用い、新鮮さにこだわった新たな製品開発にも着手しているそうだ。
バイオ産業と言う名の地産名産づくり
道水では、地元企業と協力し、有限会社バイオクリエイトを平成16年に設立。新たな事業として、函館地産の水産物に特化した製品開発、バイオへの取り組みに積極的に参画。北大水産学部の研究者を招き、地元企業とともに「水産研修会」を設立、様々な可能性を探っている。その中で最近健康食品として注目を浴び始めた地場産の“がごめ昆布”の用途開発に努め、その優れた成分を活かした栄養補助食品や化粧品などの製品化に成功。ホームページなどを通じての販売も始めている。
今後も、新たなニーズを発見し、それに応える地場の物を生かした付加価値のある名産品を生み出していきたいと、地元企業との密接な協力のもとで新しい商品展開を進めている。
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