食品加工のトータルコーディネイター
1941年(昭和16年)創業の株式会社中山薬品商会は、函館を中心に医薬品、工業薬品、食品添加物等を取り扱っている。
「人々の快適な暮らしの基本は健康的な生活環境にある」と考える中山薬品商会では、函館の基幹産業である食品加工業と観光業を2本の大きな柱ととらえ、函館という街が持つブランドイメージを加工食品として全国に発信する為に、味の発想・衛生的な製造工程・調味料の工夫・保存性の向上等様々な面から提案を重ねている。例えば、水産物加工や乳業などの食品加工会社に対して、調味料や香辛料・甘味料等味の提案や衛生に関わる殺菌剤や洗剤など様々な商品を納入している。
また、全国から函館を訪れる観光客の皆様が何度もこの街を訪ねてくださるように、サービス・衛生面の向上に役立つ工業薬品などを含む商品の提案もしている。例えば、温泉施設への工業薬品や洗剤等のメンテナンス商品を納入している。
2006年3月には待望の新社屋に移転、施設設備もさらに充実し、良質な環境と万全な体制で、時代のニーズに応えていきたいという。
函館のより良い味をつくるお手伝い
同社は、保健所や道立工業技術センターと同等水準の食品微生物検査の環境を整えている。これだけの施設と環境があるところは市内にも数ヶ所しかないそうだ。食品加工メーカーでは、雑菌の繁殖を抑制する処置などがきちんと行われているかどうかの判定が必要となるが、自社内で完全に対応できている企業はまだ少ないとのこと。「函館から美味しいものを発信していくためには、味はもちろんのこと安全なものでなくてはなりません」と話すのは、代表取締役で薬剤師の資格も持つ中山一郎さん。そこで、同社では、食品添加物・調味料を販売することで終わりとせず、安全な商品製造を行えるよう、また、販売した調味料が保存性の向上に寄与しているかの確認のため、販売先メーカーの食品微生物検査を行うようになった。常勤の検査員を置き、食品から加工施設にいたるまで毎日数十件の検体を検査している。
食品添加物・調味料の販売は、味を調えるという面で、函館の美味しいもの作りに一役買っている。そんな思いを出発点に、調味料の独自開発はもちろん、食品加工にかかわる加工技術の研究・開発や衛生管理までのトータルなアドバイスを通し、より良い味をつくるためのお手伝いしていきたいと意欲的だ。
できるだけ自然なもので状態を保つ
グルメブームが続いている今の時代、安全性への関心も強まる昨今、中山薬品商会では出来るだけ天然物の食品調味料を提案することを心掛けている。先人は昔から醤油や酢、塩などの天然素材を使って食品を保存してきた。そうした昔からの知恵を活用し、更に最新の技術を加え、もともとある天然素材の組合せにできるだけ近い調合で食品の保存性を高めるための研究・開発を行っている。食品メーカーで作られる商品の味や日持ちの仕立ては千差万別、それぞれの味や食感、栄養を損なわず味を調える調味料の研究に力を注ぐ毎日だ。
バイオ関連産業への期待
中山さんは、平成16年6月、地元企業の株式会社道水社長高野元宏氏、マルキチ食品株式会社会長 金子宏氏の3者と共同でベンチャー企業を立ち上げた。函館の水産物に特化した未利用資源の有効活用をテーマに、バイオへの取り組みで新製品を開発し、新函館ブランドを全国に送り出そうという有限会社バイオクリエイト。同12月には、道南のみで生育し、最近健康食品としても注目されているがごめ昆布を使った化粧品と栄養補助食品の販売も開始した。東京の薬科大学卒業後、都内の商社で化学薬品担当として大手メーカーを相手にした化粧品などの原料買い付けにあたり、さらに薬剤師の資格も持つ中山さんは、そうしたキャリアを存分に活かし、設立後間もないベンチャー企業のものづくり担当として商品の研究・開発にも携わる多忙な毎日だ。
「地元業者が力を合わせ、バイオという新分野への積極的な取り組みで、高付加価値商品を作っていきたい、この地域にはそれだけの潜在的可能性がある」と。バイオ関連の商材への本格的な取り組みは今始まったばかりと言う中山さんは、新しい地場の資源を見つけるたび、新たなニーズを模索し、研究・開発に取り組んでいる。新商品の登場も間もなくと期待は大きい。 |