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平成27年 6月号
こんなことができます
におい・香りなどの揮発性成分を分析します。
ガスクロマトグラフ質量分析装置(GC-MS)
試料を気体状態にして装置に注入し、ガスクロマトグラフ(GC)で成分を分離し、質量分析装置(MS)で成分を同定します。揮発性が高く、熱に対して安定した物質の分析に適しています。食品素材のにおい・香りを活かした高付加価値製品の開発や、異臭問題の原因物質特定などの品質評価・管理に有効です。なお、本装置は経済産業省・平成25年度補正予算「地域オープンイノベーション促進事業」で設置されました。
装置構成
・ガスクロマトグラフ:Agilent 7890B
・質量分析装置:Agilent 5977
・オートサンプラ:Gerstel MPS2 XL(液体注入法/ヘッドスペース法/SPME法)
・スニッフィングポート:Gerstel ODP 3
【お問い合わせ】 研究開発部食産業技術支援グループ 鳥海 ℡(0138)34-2600
(写真)ガスクロマトグラフ質量分析装置(GC-MS)
トピックス(H2706)
平成27年度北海道立工業技術センター研究成果発表会開催
日 時:平成27年5月26日(火)13:30~17:10(17:30~交流会)
場 所:ロワジールホテル函館
参加者:96名
5月26日(火)ロワジールホテル函館で工業技術センター研究成果発表会を開催しました。三浦センター長の開会挨拶に続き、企業や大学との共同研究などの成果7題を発表しました。海のパセリ、お刺身昆布等の試食、スラリーアイス、開発した迅速細菌検査キットや開発事例のパネル展示を行い、来場者の皆様からたくさんの貴重なご意見をいただきました。今後の研究開発の参考とさせていただきます。引き続き開催した交流会でも産学官の参加者が情報交換等を行いました。多くの方々にご参加頂き大変有意義な発表会となりました。
発表演題と発表者は、下記の通りです。
1.DNAを指標としたマコンブの種苗生産の可能性
清水健志(食産業技術支援グループ)
コンブの利用価値を高めるために、ダシ用に収穫される「夏採り」コンブとは異なる、「春採り」コンブのブランド形成を進めています。ここでは、産地ブランドを「守る・育てる」ための、DNA情報を利用した種苗生産の可能性を検討したので紹介しました。
2.未利用海藻ダルスの優れた栄養機能と産業利用への取り組み
木下康宣(食産業技術支援グループ)
コンブの養殖ロープに繁茂するダルスの利用を検討し、これまでに、他の食材ではなかなか見られない、熱に強い緑色を持った素材であることを見出してきました。ここでは、その機序解明過程で分かってきた、脂溶性成分の新たな特徴を紹介しました。
3.ガゴメフコイダンのサイホン式抽出とLC-MS分析
青木央(食産業技術支援グループ)
ガゴメ昆布から、ガラスサイホンを使ってフコイダンを高純度抽出する方法を紹介しました。LC-MS(液体クロマトグラフ質量分析計)での分析法を例示し、フコイダンの硫酸化された糖の特徴を示しながら、分析方法を考察しました。
4.未利用海藻バイオマスを活用したポリマー素材の開発
小林孝紀(応用技術支援グループ)
海藻などのバイオマスからポリマー素材を合成する技術について、バイオエタノールの生成に関しての検討を含めて評価を行いました。その結果、高収率でポリマー素材とエタノールを共に得られることを確認したので報告しました。
5.道産菌床しいたけのための新しい乾燥操作設計と事業化への取り組み
小西靖之(応用技術支援グループ)、福田将仁(福田農園)
「王様しいたけ」の乾燥品の品質制御のために従来法とは異なる新しい乾燥操作の設計を行い風味や製品色などの品質を良好化しました。その後、事業化のために乾燥装置を導入し、商品開発等に取り組んだので、その概要を報告しました。
6.ケイ酸塩およびホウ酸塩を含む新規セラミックボールによる親水性イオンコーティングの技術開発
高村巧(応用技術支援グループ)
水洗するだけで防汚のための親水化効果を付与できる、ケイ酸塩およびホウ酸塩を含む新規なセラミクスを共同研究で開発しました。このセラミクスにより作製した機能水についても、その効果を種々の分析装置で確認できたので、合わせて紹介しました。
7.地域資源を活用した製品の付加価値向上に関する取り組み
~鹿部町製品開発研究会の事例紹介~
下野 功(ものづくり技術支援グループ)、高橋昱彦(鹿部町製品開発研究会)
漁業の町・鹿部町ではホタテの養殖が盛んで、その副産物である貝殻から石灰肥料を製造し、有効活用していますが、コスト的な課題も抱えています。本発表では、その付加価値を向上させるための、鹿部町製品開発研究会の取り組みについて紹介しました。
(写真左)開会の挨拶をする工業技術センター長 三浦汀介
(写真右)平成26年度の事業概要を説明する研究開発部長 吉野博之
(写真左)(有)福田農園 福田将仁氏(右)と研究開発部研究主査 小西靖之(左)
(写真右)鹿部町製品開発研究会 高橋昱彦氏(右)と研究開発部研究主幹 下野 功(左)
(写真)試食、展示コーナーの様子
平成27年度事業計画から
北海道立工業技術センターでは、地域企業の技術の高度化や新製品の開発を支援するため、研究開発、試験分析、技術相談、研修、技術情報提供、広報、函館地域産業化支援などの事業を行っています。今回は、平成27年度実施予定の事業計画の中から研究開発事業、函館地域産業化支援事業のテーマをご紹介します。
研究開発事業
北海道と函館市から委託される研究開発事業は、地域企業の技術の高度化、新製品の起業化及び地域のニーズに即応した先端技術分野における応用技術の研究開発を推進することを目的に実施するもので、研究開発期間は、3~4年を目途としています。
分 野:ものづくり技術支援グループ
実施年度:平成26年度~平成28年度
テーマ :自律駆動型太陽追尾システムに関する研究
概 要:太陽光発電では、太陽の日周運動に合わせて発電パネルが追従すれば大幅に発電効率がアップするが、既存
の電動機を用いた太陽追尾装置は高コストで自身が電力消費するという問題がある。駆動源に水素吸蔵合金
アクチュエータを用いることで、電源不要で低コストな自律駆動型太陽追尾システムの技術開発を目指す。
分 野:ものづくり技術支援グループ
実施年度:平成25年度~平成27年度
テーマ :水環境における光応用技術の産業利用に関する研究
概 要:光応用技術を水中でも利用可能とするため、産業の現場で想定される様々な外乱要因を検討し、水中環境特
有の固定方法や電源確保、伝送仕様等、多くの要求項目を満たした計測制御に利用可能なモジュールを試作
し、水環境下での光応用技術の産業利用について検討する。
分 野:ものづくり技術支援グループ
実施年度:平成27年度~平成29年度
テーマ :高誘電材料の作製プロセスに関する研究
概 要:無機エレクトロルミネッセンスの高輝度化を目指して、熱処理による誘電体粉末の誘電率向上について調
査・検討を行い、得られた高誘電率の材料を用い、無機エレ クトロルミネセンスを作製し、その発光特
性を調べる。
分 野:応用技術支援グループ
実施年度:平成26年度~平成28年度
テーマ :天然物由来高分子系材料の開発
概 要:プラスチック材料は化石資源から合成されているが、大量に発生する一次産業の副資材では、廃棄方法が
問題化するなど環境負荷が大きい。これを解決するため天然物を原材料として合成する高分子材料を開発
する。さらに、この高分子材料を高付加価値な工業用素材、医薬化粧品用素材などに応用する技術を検討
する。
分 野:応用技術技術支援グループ
実施年度:平成27年度~平成28年度
テーマ :粉末冶金法のバイオ・メディカルマテリアルへの応用に関する調査研究
概 要:3Dプリンタや金属粉末複合加工機の出現により、粉体を製品化する技術(粉末冶金技術)が急速に発展し
ており、これらの技術を用いたバイオ・メディカルマテリアル製造の可能性について調査を行う。
分 野:応用技術支援グループ
実施年度:平成26年度~平成28年度
テーマ :食品加工におけるプリプロセッシングの高度化に関する研究開発
概 要:食品加工では様々な処理が行われているが、特に農産物素材などの食品の乾燥操作では、どの前処理をど
のタイミングで行うかというプリプロセッシング(前工程) が製品品質に大きく影響を与える。プリプ
ロセッシングによる乾燥製品の品質、保存性への影響を明らかにする。
分 野:食産業技術支援グループ
実施年度:平成26年度~平成28年度
テーマ :食品微生物の特異的定量システムの開発
概 要:培養併用FISH法を応用して、様々な食品の迅速細菌検査に対応可能なマルチ蛍光スペクトル計測装置を開
発しているが、検査工程の省力化と校正法の確立が必要である。吸引ろ過工程の省力化のための試料懸濁
液の簡易吸収機構や装置の校正用試料の開発を含めた校正方法を開発する。
分 野:食産業技術支援グループ
実施年度:平成26年度~平成28年度
テーマ :地域バイオ資源の機能性の利活用に関する研究開発
概 要:海藻含有の機能性成分フコキサンチンとフコイダンについては、函館地域で多くの関連食品開発が進んで
いるが、この機能性をアピールするための表示や分析データの開示等について地域企業を支援するため、
分析法の標準化確立を目指し、素材のみならず各々の加工食品に適した分析法を開発する。
分 野:食産業技術支援グループ
実施年度:平成26年度~平成28年度
テーマ :食品製造・加工における環境型の同定検査技術の研究開発
概 要:食品製造業では異物混入や変敗等のクレームへの迅速な対応が求められており、原因究明に役立つ同定検
査技術に対する必要性が高まっている。これまでの同定検査では環境負荷の高い薬品を使用することや同
定に時間を要することが課題となっており、低環境負荷でかつ迅速な同定検査法を開発する。
分 野:食産業技術支援グループ
実施年度:平成27年度~平成29年度
テーマ :栄養機能情報を活用した道産水産資源の新需要創出に係わる研究開発
概 要:主にコンブを始めとした道産水産資源について、①新たな栄養機能成分を探索するための評価技術開発、
②有用成分の特性評価、③生産利用条件がその特性に及ぼす影響に係る検討を行うことにより、これまで
に知られていない新たな食品科学的機能に基づく訴求点を探求して新需要の創出を図る。
地域産業化支援事業費
地域産業化支援事業は、函館地域において産学官の連携を推進し、大学や工業技術センターの技術シーズを地域企業へ移転することにより、新製品の創製や新事業の創出を目指すものです。
分 野:食産業技術支援グループ
実施年度:平成27年度~平成28年度
テーマ :地域食品素材の香りの利活用に関する研究開発
概 要:地域の食品素材や未利用資源等について、香りの特徴の評価を行う。さらに素材等の特性に応じて、賦香
剤の試作を行う。また、食品製造において香りを積極的に活用するために、従来製品のにおい・香りの特
徴を把握し、利活用するための基礎データとする。
分 野:ものづくり技術支援グループ・応用技術支援グループ
実施年度:平成27年度~平成28年度
テーマ :海獣忌避技術の産業化
概 要:平成26年より「地域のものづくり産業強化力対策事業」にて実施している海獣忌避装置の音質制御技術に
関する検討結果を活かし、忌避音源仕様の検討から製品化を見据えた試作を行い、実験・検証によって事
業化検討を実施することにより、地域企業が研究開発した技術の産業化支援を図る。
お知らせ
公益財団法人函館地域産業振興財団めるまが配信中
当財団では、新事業創出による地域経済の活性化を目的として、地域企業における研究開発、技術水準の高度化、起業化、起業化推進等に対する各種資金供給や技術支援、人材育成事業などを行っています。また、管理運営している北海道立工業技術センターでは、地域企業の技術の高度化や新製品の開発を支援するため、研究開発、試験分析、技術相談、研修、技術情報提供、広報、産業化支援など様々な事業を行っています。
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JKA(競輪)補助事業導入機器のご紹介
【JKA(競輪)補助事業】により導入した試験分析機器を、地域企業や起業を目指す方に広く開放していますので、ご活用ください。
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工業技術センターでは個別技術研修を行っています。
企業などの技術的課題の多様化に対応するため、個別密着型で、かつ、技術移転を重視した個別技術研修を行っております。食品の加工・品質評価、工業材料・部品等の試作・評価、測定・試験用機器の活用方法など個別の技術ニーズに対応しております。
【開催日】随時
【場 所】北海道立工業技術センター
【受講料】無料
【お問い合わせ】公益財団法人函館地域産業振興財団 工業技術センター研究開発部
℡(0138)34-2600