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トピックス(H2606)

平成26年事業計画から

北海道立工業技術センターでは、地域企業の技術の高度化や新製品の開発を支援するため、研究開発、試験分析、技術相談、研修、技術情報提供、広報、函館地域産業化支援などの事業を行っています。今回は、平成26年度実施予定の事業計画の中から研究開発事業、函館地域産業化支援事業及び研修事業のテーマをご紹介します。

研究開発事業

分  野:ものづくり技術支援グループ

実施年度:平成26年度~平成28年度

テーマ :自律駆動型太陽追尾システムに関する研究

概  要:太陽光発電では、太陽の日周運動に合わせて発電パネルが追従すれば大幅に発電効率がアップするが、既存の電動機を用いた太陽追尾装置は高コストで自身が電力消費するという問題がある。駆動源に水素吸蔵合金アクチュエータを用いることで、電源不要で低コストな自律駆動型太陽追尾システムの技術開発を目指す。                                                 

分  野:ものづくり技術支援グループ

実施年度:平成25年度~平成27年度

テーマ :水環境における光応用技術の産業利用に関する研究

概  要:光応用技術を水中でも利用可能とするため、産業の現場で想定される様々な外乱要因を検討し、水中環境特有    の固定方法や電源確保、伝送仕様等、多くの要求項目を満たした計測制御に利用可能なモジュールを試作し、水環境下での光応用技術の産業利用について検討する。

分  野:ものづくり技術支援グループ

実施年度:平成24年度~平成26年度

テーマ :機能性加工工具材料の開発

概  要:既存の超硬工具が抱える問題点の解決を目的に、これまでに開発を行ってきた機能性耐摩耗工具材料を発展させた刃物材料の設計・開発を行う。材料製造プロセスには、これまで培ってきた粉末冶金に関する技術を更に発展させて適用し、最終的には実際の加工工具の開発・製造を行う。

分  野:応用技術支援グループ

実施年度:平成26年度~平成28年度

テーマ:天然物由来高分子系材料の開発

概  要:プラスチック材料は化石資源から合成されているが、大量に発生する一次産業の副資材では、廃棄方法が問題化するなど環境負荷が大きい。これを解決するため天然物を原材料にして合成する高分子材料を開発する。さらに、この高分子材料を高付加価値な工業用素材、医薬化粧品用素材などに応用する技術を検討する。

 

 

分  野:応用技術支援グループ

実施年度:平成24年度~平成26年度

テーマ:真空技術による半導体薄膜の低温成膜プロセスに関する研究

概  要:機能性半導体材料として硫化亜鉛系、酸化亜鉛系材料を選び、工業的に重要な成膜法であるスパッタ法を用いて成膜を試みる。成膜した試料の構造解析や電気的・光学的特性測定結果から、薄膜や成膜プロセスを評価し、低温成膜への応用の可能性について検討する。

 

  

分  野:応用技術支援グループ

実施年度:平成26年度~平成28年度

テーマ:食品加工におけるプリプロセッシングの高度化に関する研究開発

概  要:食品加工では様々な処理が行われているが、特に農産物素材などの食品の乾燥操作では、どの前処理をどのタイミングで行うかというプリプロセッシング(前工程)が製品品質に大きく影響を与える。プリプロセッシングによる乾燥製品の品質、保存性への影響を明らかにする。

分  野:食産業技術支援グループ

実施年度:平成26年度~平成28年度

テーマ:食品微生物の特異的定量システムの開発

概  要:培養併用FISH法を応用して、様々な食品の迅速細菌検査に対応可能なマルチ蛍光 スペクトル計測装置を開発しているが、検査工程の省力化と校正法の確率が必要である。吸引ろ過工程の省力化のための試料懸濁液の簡易吸収機構や装置の校正用試料の開発を含めた校正方法を開発する。

 分  野:食産業技術支援グループ

実施年度:平成26年度~平成28年度

テーマ:地域バイオ資源の機能性の利活用に関する研究開発

概  要:海藻含有の機能性成分フコキサンチンとフコイダンについては、函館地域で多くの関連食品開発が進んでいるが、この機能性をアピールするための表示や分析データの開示等について地域企業を支援するため、分析法の標準化確立を目指し、素材のみならず各々の加工食品に適した分析法を開発する。

 
               

分  野:食産業技術支援グループ

実施年度:平成26年度~平成28年度

テーマ:食品製造・加工における環境型の同定検査技術の研究開発

概  要:食品製造業では異物混入や変敗等のクレームへの迅速な対応が求められており、原因究明に役立つ同定検査技術に対する必要性が高まっている。これまでの同定検査では環境負荷の高い薬品を使用することや同定に時間を要することが課題となっており、低環境負荷でかつ迅速な同定検査法を開発する。

 
                 

分  野:食産業技術支援グループ

実施年度:平成24年度~平成26年度

テーマ:地域消費型農水産資源の利用に関する研究開発

概  要:地域における多様な水産資源の漁獲流通状況を整理し、栄養成分や保存特性の特徴を把握すると共に、地域差や季節変動の情報を得、その特性を活かした利活用法を探る。

 

 

地域産業化支援事業費

 

分  野:食産業技術支援グループ

実施年度:平成25年度~平成26年度

テーマ:北海道の香草の加工利用に関する研究開発

概  要:香草の香気発揚のための前処理条件を萎凋や発酵などの茶の製造工程を参考に検討するとともに、蒸熱や乾燥処理による不快臭(草の青臭さ)除去に関する検討も行う。これらの検討を踏まえ、最もシンプルな加工食品としてお茶の試作例示や、スイーツ等へ適用を検討する。

 

 

分  野:ものづくり技術支援グループ・応用技術支援グループ

実施年度:平成25年度~平成26年度

テーマ:低温焼結技術の最適化による金属ナノ粒子ペーストの産業化支援研究
          

概  要:地元企業から提供を受けた金属ナノ粒子ペーストを用いた配線プリント試験を行いその特性について評価する。配線基板には、ガラスエポキシやカプトンフィルムを用い、これらの基板に熱的損傷を与えず、金属ナノ粒子の酸化、ペースト溶媒残留のない、低温焼結条件について検討する。

平成26年度北海道立工業技術センター研究成果発表会開催

5月27日(火)ロワジールホテル函館で工業技術センター研究成果発表会を開催しました。三浦センター長の開会挨拶に続き、企業や大学との共同研究などの成果7題を発表しました。

クルマバソウアイスクリーム、がごめの滴、コンブ加工品の試食、生シイタケ等級判別装置などの試作品や開発事例のパネル展示を行い、来場者の皆様からたくさんの貴重なご意見をいただきました。今後の研究開発の参考とさせていただきます。引き続き開催した交流会でも産学官の参加者が情報交換等を行いました。多くの方々にご参加頂き大変有意義な発表会となりました。

発表演題と発表者は、下記の通りです。

 

1.未利用海藻ダルスに新たな価値  ―商品開発に役立つ特有の食品科学的機能―

  木下康宣(食産業技術支援グループ)

コンブの養殖ロープに自然繁茂する海藻ダルスがあります。これは紅藻に分類され、通常赤紫色を呈していますが、特定の処理を行うと緑色化し、120℃で加熱しても退色しないことを見出しました。この知見を活かした利用方法を提案しました。

2.FISHFC法による迅速細菌検査システムの開発と食の安全保障への応用

  大坪雅史(食産業技術支援グループ)

 結果判定に最低24時間を要する食品の細菌検査の迅速化に取り組んでいます。様々な食品検査に適応可能で最短6時間以内に結果判定な検査システムの商品化に、農林水産省の支援を受けて着手しております。その内容と今後の展開について報告しました。

3.DNA分析によるコンブ類の原産地判別技術の開発と検査キットの製品化に向けた取り組み

 清水健志(食産業技術支援グループ)

 八十川大輔(道総研 食品加工研究センター) 原口浩幸((株)ファスマック)

 原産地判別技術が様々な食品素材で開発され、ブランドの保護に利用されています。地域特産物であるコンブ類のブランドを「守る・育てる」ことを目的に開発した原産地判別技術と技術普及への取り組みをご紹介しました。

4.水中無線技術の研究開発と応用事例~「魚の健康診断」

 村田政隆(ものづくり技術支援グループ)

 水中の無線技術はなかなか進捗しづらい研究開発分野ですが、陸上利用での快適性・利便性を考えれば、今後発展する可能性を秘めています。今回、バイオセンサーによる魚のリアルタイムモニタリングの研究事例を交え、水中無線にかかわる取り組みについて紹介しました。

5.ホタテ貝殻から創製した食品及び医薬品用物理―化学的識別物質

 下野 功(ものづくり技術支援グループ)

 光るホタテの貝殻から創製した素材は、単にカルシウム強化を目的とする健康補助食品用の添加物にとどまらず、偽造を抑止するための識別物質として役立つことが期待されています。

この素材の新たな使い方について提案しました。

6.ドライプロセスによる無機EL用蛍光体への薄膜コーティング

 菅原智明(応用技術支援グループ)

 無機EL用蛍光体の高性能化を実現するため、真空応用のドライプロセスを用い、蛍光体粒子の表面に薄膜をコーティングしました。酸化物、窒化物のスパッタ成膜技術、蛍光体への均一コーティング、薄膜評価について報告しました。 

7.函館発の海洋計測機器「デジタルXBT(投げ込み式水温水深計)」の研究開発

 村田政隆(ものづくり技術支援グループ)、鉄村光太郎((株)エスイーシー)

 1960年代にアメリカで開発されたXBTは、現在の海洋観測に必要不可欠な計測機器ですが、時代とともに深海への対応や高精度化が求められてきました。今回、函館で研究開発が進む時代のニーズを反映した汎用型デジタルXBTについて報告しました。

(写真左)工業技術センターセンター長 三浦汀介

(写真右)発表会の様子

(写真)試食、展示コーナーの様子

研修会開催

「商品カルテのつくりかた-フォーマットと書き方の基本-」

日 時:平成26年5月13日(火)15:00~17:00

場 所:北海道立工業技術センター

講 師:(公財)北海道科学技術総合振興センター クラスター事業部 伊東博美氏

参加者:79名

 「商品カルテ」は、商品の製法、原材料、栄養成分、賞味期限、アレルギー表示などを一つにまとめた書類で、商品規格書、商品仕様書などとも呼ばれています。食品の製造販売を行う際には、製品ごとに準備しておくべき大切なものです。商品カルテを作成するには、食品の製造、販売に関する法規の他、技術的な知識も必要となります。書式には定まったものがなく、取引先にあわせて個別に作成する場合もあるので、記載すべき内容をよく理解しておかなければなりません。そこで、元大手量販店品質管理担当者であるノーステック財団クラスター事業部研究員伊東博美氏をお招きして、商品カルテのつくりかたの基本に関する研修会を開催しました。多くの方々のご参加を頂き、大変有意義な研修会でした。

(写真左)ノーステック財団クラスター事業部 伊東博美氏(写真右)研修会の様子

食とバイオ国際交流シンポジウム2014開催

 日 時:平成26年6月3日(火)

 場 所:函館市国際水産・海洋総合研究センター

  

 道内のマリンバイオに関する産学連携の共同研究やビジネス展開、食・バイオ関連分野のシンガポールを拠点としたアジア展開を促進するため、経済産業省北海道経済産業局、北海道大学大学院水産科学研究院、公益財団法人函館地域産業振興財団の主催で「食とバイオ国際交流シンポジウム2014」が開催しました。シンガポールから食品科学や食品加工分野での先端研究を行っている国立大学や政府試験研究機関等関係者等をお招きし、食品の機能性や栄養分野における産学共同研究の成果やシンガポール食品市場の動向等をご紹介頂きました。当財団も、函館マリンバイオクラスターの成果や春採りコンブ、ダルスの試食、パネル展示等を行い、多くの方々に興味を持って頂きました。

(写真左)シンガポール国立大学(NUS)教授ZHOUWeibiao氏(写真右)函館地域産業振興財団ブースの様子