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最適波長による高効率海藻種苗生産システム(特許第5931684号)が、令和4年度 北海道地方発明表彰「特許庁長官賞」を受賞しました。
受賞年月日 : 令和4年10月19日
川 越 力 共和コンクリート工業株式会社 海藻技術研究所 主席研究員
白 石 恭 輔 共和コンクリート工業株式会社 海洋水産部
北 山 進 一 株式会社アルファ水工コンサルタンツ 顧問
坂 下 功 元 共和コンクリート工業株式会社 海洋水産部 副部長
吉 野 博 之 公益財団法人函館地域産業振興財団 事務局長
菅 原 智 明 公益財団法人函館地域産業振興財団 研究開発部 研究主幹
玉 森 学 株式会社東和電機製作所 技師長
山 田 芳 浩 元 株式会社東和電機製作所 開発部 課長
安 井 肇 公益財団法人函館地域産業振興財団 副理事長、北海道立工業技術センター センター長
水 田 浩 之 国立大学法人北海道大学 大学院水産科学研究院 教授
実施功績賞
本 間 丈 士 共和コンクリート工業株式会社 代表取締役社長
久 保 俊 幸 公益財団法人函館地域産業振興財団 理事長
浜 出 滋 人 株式会社東和電機製作所 代表取締役
寳 金 清 博 国立大学法人北海道大学 総長
本発明は、海藻養殖や藻場造成に必要な海藻の種苗生産に関するもので、効率的な大量培養を可能とした海藻種苗生産システムである。
本発明では、海藻の生長に必要な光源に、発熱量が少なく光の指向性が高いLEDを用いることで、恒温槽内に配置したスリムタイプの水槽に側面からLEDを近距離照射し(省スペース化)、水槽内に縦置き配置した海藻種苗1個体ずつに対してLEDをスポット照射することで無駄な光を削減し(省エネルギー化、低コスト化)、予め実験で得られた各海藻種の最適なLED波長を照射することで培養期間の短縮(効率化)を可能とした。
本システムによる海藻種苗生産の高効率化(省スペース、省エネルギー、低コスト等)は、従来技術に比べてCO2排出削減に貢献する。また、本システムで生産した海藻種苗を用いて造成した藻場は「ブルーカーボン」の役割を担い、カーボンニュートラル社会の実現に寄与することができる。
従来の問題点と本発明の特徴
省スペース型海藻種苗生産システム
生存率が高い海藻種苗生産方法の発明(特許第4783884号)が、令和2年度北海道地方発明表彰「発明奨励賞」を受賞しました。
・川越 力 共和コンクリート株式会社
・伊藤 篤 国立研究開発法人水産研究・教育機構
・國分啓子
・五十嵐茂 共和コンクリート株式会社
・吉野博之 公益財団法人函館地域産業振興財団
【背景】
大型海藻のホンダワラ類が繁茂する藻場は、有用魚介類に摂餌場所、隠れ場、産卵場所や稚仔魚の生育場所を提供するだけでなく、海域の栄養塩類を吸収することで水質浄化にも寄与し、全国各地でホンダワラ類の藻場造成が望まれています。
【発明の概要】
従来のホンダワラ類海藻の種苗生産は、受精卵が自ら着生することを期待するもので、初期減耗率が著しく高く、大形に育成するのは難しいことでした。このような課題に対し、ホンダワラ類幼体の根(付着器)が確実に基質に活着する方法を見出し、生存率を大きく向上させる種苗生産手法を確立しました。
【発明内容】
具体的には、①ホンダワラ類の受精卵から伸長する繊維状の仮根を糸に挟み込むことで幼体を固定し、確実に活着するまで培養する工程、②次に板状のチップに、前記幼体が活着した糸を固定し、ホンダワラ類の付着器表層細胞が板状チップに活着するまで培養する工程の2段階培養により、チップ上に強固に活着したホンダワラ類の種苗を生産することができます。
【成果】
本発明により、藻場造成や増養殖に適した良質なホンダワラ類種苗を大量に生産する事が可能となりました。また、本発明に加えて海藻種苗の大量培養を効率的に行う特許とできた種苗チップを効率的に取り付ける特許をシステム化することにより、実用化に成功し、北海道沿岸の藻場造成事業をはじめとして全国各地に既に種苗として3万個体以上、藻場面積6ha以上の種苗移植を行い、これらの藻場では持続的な海藻群落が形成されるなど大きな成果となっています。
令和2年度北海道地方発明表彰「函館市長賞」受賞
DNAによるコンブの原産国判別方法(特許第6323829号)が、令和2年度北海道地方発明表彰「函館市長賞」を受賞しました。
・清水 健志 公益財団法人函館地域産業振興財団
研究開発部 食産業技術支援グループ 研究主査
・八十川大輔 地方独立行政法人北海道立総合研究機構
産業技術研究本部 食品加工研究センター
応用技術部 応用技術グループ 主任主査
以下公益社団法人発明協会ホームページより抜粋
本発明は、外観では識別することが困難なコンブの原産国について、DNAの塩基配列を指標とすることで、高精度に判別することを可能とする方法に関するものである。本発明では、コンブのミトコンドリアDNAがコードするNAD5遺伝子に、コンブの種類が同定でき(図)、さらにマコンブの原産国を高い精度で判別できる塩基配列(425塩基)が存在することを明らかにした(表)。本判別方法は、主に流通しているマコンブ(マコンブ変種のホソメコンブ、リシリコンブ、オニコンブを含む)、ミツイシコンブ、ナガコンブ、ガッカラコンブ、チジミコンブ、ガゴメ、トロロコンブの7種類に適用することができる。本発明により、コンブの価格と密接に関係する原産国や種類を判別することができるようになった。コンブ製品における差別化の証明や虚偽表示の防止に利用でき、さらには原産国・種類が有するブランド価値の維持・保護に寄与することが期待される。
(写真)研究開発部 食産業技術支援グループ 清水研究主査
令和元年度北海道地方発明表彰「北海道知事賞」受賞
幼体移植式藻場造成法(特許第4929267号)が令和元年度北海道地方発明表彰「北海道知事賞」を受賞しました。
・川越 力 共和コンクリート工業(株)海藻技術研究所 主任研究員
・伊藤 篤 国立研究開発法人水産研究・教育機構 瀬戸内海区水産研究所 主任研究員
・國分啓子 元 共和コンクリート工業(株) 海藻技術研究所 研究員
・五十川 茂 共和コンクリート工業(株) 九州営業部 嘱託
・吉野博之 公益財団法人函館地域産業振興財団 事務局長
以下公益社団法人発明協会ホームページより抜粋
本発明は、予め陸上でしっかり育成した海藻の種苗(ナエ)を海底に用意したホルダーに迅速かつ容易に取り付け、対象にした海藻で確実に藻場(海藻群落)を造成するシンプルな手法である。藻場造成において①海中での作業を迅速に行うことができ、②海藻種苗を確実に海底に植え付け、③種苗の脱落時や植え替え時の脱着メンテナンスを容易に行うことができるように、海藻種苗を取り付けた「種苗チップ」と種苗チップを取り付ける「ホルダー」、ホルダーを取り付ける「ベース」を、それぞれ係合溝をテーパー状にし、さらにそれぞれ直交するようにくさび係合として、時化等では簡単に抜け落ちず、かつ、ダイバーが容易に着脱できる構造となっている。本発明により、例えばハタハタが産卵する海藻を対象とした藻場造成においては、移植海藻から胞子(タネ)が周囲に供給され、新しい世代の対象海藻が着生することで持続的な産卵藻場が形成され、さらに、その藻場にハタハタの産卵が確認されるなど大きな成果が得られている。