函館・道南では、地元の資源やオリジナルな技術を活用したユニークな企業が数多く活躍しています。 当ホームページでは、それらの企業を取材し、広く全国に向けて発信しています。
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←代表取締役 倉地 勝美さん
八雲くら屋菓子舗は1969年の創業。和洋菓子店として多様なお菓子を扱っているが、中でもどら焼きには力を入れている。ホームページのトップ画像にはどら焼きを据え、店主は自らを「どら王」と称しているほどだ。
その「どら王」こと、現・代表取締役の倉地勝美さんは、父・秀二さんが創業したこの菓子舗の二代目店主だ。
倉地さんは高校卒業後、一度八雲町を離れ専門学校に通い大阪や札幌で数年間働いたが、26歳の時にくら屋菓子舗へ帰ってきた。その間、お菓子から離れた仕事に就いたこともあったが、子供の頃から甘いものや食べることが好きだったという倉地さんは、お菓子作りを見て育ったこともあって、お店を継いで暮らしていければいいなと自然に思うようになっていたのだそうだ。
▲看板商品のどら焼き
「有限会社 くら屋菓子舗」の場所を地図で確認できます。
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創業 |
1969年 |
代表者 |
代表取締役 倉地 勝美 |
住所 |
〒049-3105 二海郡八雲町東雲町64-1
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TEL |
(0137)62-3231 |
FAX |
(0137)62-3238 |
E-mail |
kuraya_0805@yahoo.co.jp |
URL |
https://tsuku2.jp/kuraya/ |
従業員 |
3名 |
資本金 |
400万円 |
▲くら屋菓子舗のホームページ
▲様々などら焼きが並ぶ
▲初代店主の秀二さんも現役菓子 職人として腕を振るう(写真は見 事な上生菓子)
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今では店の看板商品となったどら焼きだが、倉地さんが帰ってきた当初は売れている商品の一つに過ぎなかった。当時のくら屋菓子舗は多くの品目を満遍なく取り扱っている状態。特徴のあるメイン商品をお店の看板として育てたいと次第に考えるようになった倉地さんは、周囲からの評判が高まっていたどら焼きこそが看板になると確信した。その頃、北海道の菓子店には、どら焼きの評判が図抜けて高いお店はなかったという。それならば「北海道のどら焼きと言えば『くら屋』だね」と誰からも言って貰えるようになろうと考えた。
くら屋菓子舗のどら焼きは、今風の甘さ控えめな生地ではなく昔ながらの甘みがある生地がベースだ。生地からは卵や牛乳の豊かな旨みが感じられ、あんがなくても美味しく食べられる。そう言うと、あんを合わせた時に甘すぎると思うかもしれないが、あんと生地のバランスが良いため飽きずに美味しく食べられる。
材料の選定も流行には流されない確固たる考えに裏打ちされている。以前、北海道産の良質な小麦がいくつも開発された時期があった。当時は、多くの菓子店がこぞって北海道産小麦に切り替えたが、くら屋はアメリカ産小麦の使用を継続した。道産小麦で作ると生地の食感が変わることが分かったからだ。
「道産の小麦にすると、食感が今流行りのもっちりに変わったんです。だけど、それじゃうちのどら焼きじゃなくなっちゃう。」
北海道産素材で材料を揃えた方が一般には印象が良いだろうが、何よりも味や食感を大切にしているからこそ、あえてアメリカ産小麦で作り続けることにした。 なお、小豆、卵、牛乳など多くの原材料は北海道産のものを使用しているが、それは「北海道産ありき」ではなく倉地さんが厳選した「結果」だと言えるだろう。
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▲陳列ケースの主役もどら焼き
▲豊かな甘みと旨みが特徴
▲どら焼き3種類 詰合せセット
▲「幻の帽子熊どら焼き」は八 雲町発祥の木彫りの熊の焼印が 楽しい
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お店の一番人気「バターどら焼き」は、くら屋のロングセラーだ。「あんバター」系の商品は今でこそポピュラーな存在になったが、くら屋のバターどら焼きはしっかりとしたバターのコクが特徴だ。食べ比べると違いがハッキリ分かると倉地さんは自信を持つ。電子レンジで、ほんの5秒ほど暖めるのがお勧めの食べ方だそうだ。溶けすぎない程度にバターが柔らかくなった時が最高らしい。
季節限定の「さつまいもどら焼き」は、八雲町落部地区の森岡農園産のさつま芋を、安納芋餡と自慢の生地で挟んだ逸品だ。最大の特徴は、輪切りのさつま芋をそのままの姿で味わえること。さつま芋餡を使用したどら焼きは他所でも食べられるが「さつま芋感」の強さは段違いだ。熟練の職人技で美味しさを引き出したさつま芋は、どら焼きに最適な柔らかさに仕上げられ皮ごと食べられる。テレビでも何度も取り上げられた商品だ。
もちろん人気商品はどら焼きだけではない。頻繁に更新されている店の Instagram には、次から次へと美味しそうな商品がアップされている。クロワッサン、ストロベリートルテ、お赤飯、ロールケーキ、おはぎ。和洋が揃うラインナップは実に多彩だ。
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▲バターどら焼き
▲さつまいもどら焼き
▲カステラも人気商品
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倉地さんの強みは菓子職人としての確かな腕だけではない。厳しい市場環境に適応する経営者としての資質も大きな強みだ。地方の経営者は、以前から急激な人口減少という難問に直面していたが、新型コロナの流行は菓子店の経営者にとって更なる逆風となった。
「うちの商品は、手土産として持って歩いてもらう商品が多かったんです。コロナ後は、そういう『お使い物』って皆さん控えるようになりました。今は戻りつつありますけど、以前のようには戻らないですね。」
待っているだけではダメとの思いもあり、積極的にSNSを活用して自ら情報を発信している。Instagram、Facebook、X(旧Twitter)、YouTubeを駆使し、中でもInstagramの投稿は頻繁だ。秋に出店した物産展ではライブ配信も行った。
販路の開拓にも積極的に乗り出していて、直近では札幌のどさんこプラザへの提案が注文獲得に繋がった。令和5年春からは、埼玉県での物産展にも出店し道外へのアプローチも強化している。将来を見据え海外も視野に入る。ジェトロに登録し海外の商談への参加を申込むなど既に行動も起こした。地元に根付きながらも町外へ打って出る姿勢は、これからの新しい時代に必要な資質だろう。
こうした倉地さんのたゆまぬ経営努力は店のさらなる発展に結実し、くら屋菓子舗の存在は「どら王」の名とともに益々広く知れ渡ることになりそうだ。
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▲洋菓子の種類も豊富
▲Instagram(@sweets_kuraya)
▲埼玉県での物産展の様子
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