函館・道南では、地元の資源やオリジナルな技術を活用したユニークな企業が数多く活躍しています。
当ホームページでは、それらの企業を取材し、広く全国に向けて発信しています。
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←取締役社長 笠井 文雄さん
「面白そう、便利そう」が出発点
新たな製品を企画・開発する際に、笠井社長が着眼するのは身近な人の生活実感だという。
「(有)パテントワークス」の場所を地図で確認できます。
「こんなものがあったら面白そう、便利そう!」
でも「どうしたら実現できるだろうか」
そう思いつくと、笠井社長の場合は、アイデアを形にするまでは走り続けたくなるのだそうだ。はじめに思いついたのは、冬の雪かき用のスノーダンプの扱いを楽にするアタッチメント。てこの原理を利用し、ダンプ使用時の腰への負担を飛躍的に軽減する製品。(残念ながら製品化は断念)
次に目を付けたのが「呼吸」。トレーニングで筋肉や心肺機能を鍛える人は多いが、呼吸法に着目してトレーニングする人は少ない。そこで、「呼吸法を変えることで、トレーニング効果が増すような器具を作ろう!」と研究開発を続け、製品化に至ったのが同社の現在の主力商品『ReBNA』である。
『ReBNA』はトレーニングや日常生活の際に鼻と口に装着するマスク。「鼻からは息を吸うだけ」、「口からは息を吐くだけ」にするための仕掛けが施されている。実際『ReBNA』を装着すると、「鼻から吸って口から吐く」という呼吸方法に自然に誘導されてしまう。しかも、普段の呼吸よりも「強く吸い、強く吐く」ようになる。
実験により、『ReBNA』装着時には、「有酸素運動になること」、「副交感神経が優位になりリラックス効果があること」、「長期間のトレーニングにより、装着しなくても同じ効果が得られやすくなること(鼻呼吸が身につく)」が実証された。また、鼻呼吸によって、口呼吸で体中に吸い込まれる雑菌や埃の7割がカットできるという副次的効果も。
こうした効果が、まるで「平地にいながら高地トレーニングをしているようだ」と格闘家や競輪選手などを始め、持久力を必要とするアスリートたちに認められ、フィットネス業界を中心にじわりじわりとユーザ層が拡大中だ。
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創立 |
2005年2月 |
代表者 |
取締役社長 笠井 文雄 |
住所 |
〒041-0801 函館市桔梗町416-24 |
TEL |
(0138)34-7892 |
FAX |
(0138)34-7891 |
E-mail |
patentworks@apyua.com |
URL |
http://patentworks.info/ |
従業員 |
2名 |
年商 |
1,000万円(12月決算・見込) |
資本金 |
300万円 |
▲ReBNA(レブナ)
▲ReBNA(レブナ)を装着したところ
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「日常生活の中で誰もが簡単に健康な体作りに取り組めるようなものを作りたい」
そんな笠井社長の次のインスピレーションは、「仕事をしながらでも健康を増進させられるようなトレーニングが出来ないだろうか?」というものだった。そんな時に着目したのが「体幹筋」である。体幹筋とは、主に腹筋、背筋などで良い姿勢を保つために必要な筋肉だ。走る・投げる・跳ぶなど、ありとあらゆる「動作」の基礎になる部位であるため、この体幹筋を鍛えることはスポーツ能力を向上させるためには欠かせないといわれている。
そこで、座っているだけで体幹筋を鍛えることができるというトレーニング用品『apyua』を2007年に考案し、2010年10月に発売にこぎつけた。
『apyua』(アピュア)とは、「普段使用している椅子の座面に置き、その上にいつも通り座り、いつも通りの作業をするだけ」という至って簡単に使える装置だが、実は何気なく腰掛けるだけでは、『apyua』がぐらぐらと揺れ、安定して座り続けることができない。きちんと座り続けるためには、背筋を伸ばし、お腹に力を入れ、いわゆる「良い姿勢」を心がける必要がある。使用当初は普段使い慣れない場所の筋肉を働かせることで疲れてしまうが、2~3日で無理なく姿勢を保っていられるようになるという。こうして繰り返し『apyua』を使うことで、無意識のうちに体幹筋が鍛えられ、姿勢も良くすることができる。
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▲apyua(アピュア)
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『apyua』の開発には、道立工業技術センター・道立工業試験場・札幌医大、そして笠井社長の(有)パテントワークスが関わっている。産学官という3業種だけでなく、そこに「医」も加わった"産学官医"という幅広い分野にわたる共同研究。このことが、『apyua』の効能により説得力を持たせることにつながった。
2011年夏から秋にかけては、埼玉県立大学、東京大学先端科学技術センター、北海道総合研究機構工業試験場、北海道立工業技術センターの技術支援と指導、監修の元、『apyua』の使用が筋力や姿勢にどのような影響を与えるのか40人余りの女性被験者に対して実験を行い、『apyua』の効果を検証・評価する。
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▲apyua(アピュア)は様々な色や形がある
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『apyua』は2010年10月の発売以来じりじり売り上げを伸ばしている。見た目の珍しさからテレビ番組でも紹介され、『ReBNA』で培ったユーザである、ジムインストラクターやアスリートからの評判もよいことが功を奏している。流行の浮き沈みが激しいトレーニング用品でありながら一流の格闘家などから変わらぬ支持を得ている『ReBNA』。彼らの愛用品ともなった道具を作った笠井社長なら、ということなのだろう。格闘家が主催するトレーニングクラスに『apyua』を組み込んでもらい、一般ユーザへの周知を図っているという。
運動することが困難な高齢者を抱える老人福祉施設からの問合せも続いているという。筋力が落ちている高齢者は、思いもよらない動作で致命的に体を傷めてしまうことがあるため、体を動かすトレーニングには本人も周囲も控えがちになる。しかし、『apyua』であればただ「座っているだけ」なのでケガの心配が少ないのだそう。笠井社長は、さらにリハビリや高齢者向けに機能を特化したバージョンの『apyua』も検討しているとのことだ。 好奇心の赴くままに突き進み、アイデアを着実に「ものづくり」へと結びつけていく。函館、日本で作ったものを世界へと、現在では世界市場を視野に海外販売サイトを開設。今後も笠井社長の歩みを止めるものはなさそうだ。
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