函館・道南では、地元の資源やオリジナルな技術を活用したユニークな企業が数多く活躍しています。
当ホームページでは、それらの企業を取材し、広く全国に向けて発信しています。
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エルフィンの川島眞一社長の実家は、大正期に船の部品を制作するために函館で創業した鋳造所だ。社長として会社を受け継いだ川島社長だが、鋳造品が鍛造品やプラスチック・樹脂などに置き替わっていく流れの中で、事業の先行きには行き詰まっていたという。
↑社長 川島 眞一さん
そんな頃、函館の工業団地にEL技術を持った企業が移転してきた。ELとは、ElectroLuminescence(エレクトロルミネッセンス)の略。紙状の発光体に電気を通すことで、表面全体が光るという光源だ。これに関心を持った川島社長は、「何か自社の製品と組み合わせて新たなものができるのでは」と他の経営者らに呼びかけてEL製造工程を見学させてもらい、その延長線上で、市内の経営者らとの異業種交流会を結成してEL技術についての勉強会を始めた。
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創立 |
2000年3月 |
代表者 |
社長 川島 眞一 |
住所 |
〒041-0824 函館市西桔梗町589番242号
(流通センター内)
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TEL |
(0138)48-0082 |
FAX |
(0138)48-0083 |
E-mail |
info@elfin.jp |
URL |
http://www.elfin.jp/ |
従業員 |
5名(正社員) |
年商 |
5,000万円 |
資本金 |
6,000万円 |
▲「(株)エルフィン」の本社外観
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勉強会を続けるうちに「自分たちでも試作品を作ろう」との機運が高まった。
その一方で、当時のELは名刺半分程度の大きさのものしかなく、川島社長らは「なぜ大きなものは作れないのだろう。」と単純な疑問を抱いた。
調べていくうちに、当時のELの課題点がふたつ見えてきた。ひとつは面を均一に光らせることの難しさだ。大きくなればなるほど電極に近いと遠い部分との明るさの違いが際立ってしまうため、大型化は難しいとされていたのだ。
もうひとつの課題は、耐候性。当時のELは、紫外線や雨に弱く、屋外での使用に適していなかった。これらの課題をクリアすればELの将来性が開けると考えた川島社長は、協同組合を作って公的な支援を受けながら3年間技術開発に取り組んだ。
その結果、独自の工夫により「大型化」と「耐候性」の課題の克服に成功。ELの製造と販売を行う「エルフィン」を設立した。
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▲EL製品例
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蛍光灯などの他の光源と比較した場合のELの特性として、「薄い・熱を発しない・紫外線を放出しないので長時間見ても目が痛くならない」が挙げられる。船舶のメーターや航空機のレーダーなどのバックライトなどは、こうした特性を活かすのに最も適しているといえる。薄いのでスペースを取らず、熱を発しないので他の計器に影響を与えず、紫外線を出さないので目に優しいからだ。
現在エルフィンでは、こうしたバックライト用ELの生産も多く手がけている。
このほか看板や広告などとしての利用など、さらに今後用途の広がりが期待できる光源だ。同社が製造したELは、屋外で5年経過したものでも十分に使用できているなど、耐用年数の長さも特徴のひとつで、長期的な経済性や環境への負荷を軽減することなどが認知されていけば、さらに市場が広がることも期待される。
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▲様々な形状で空間を照らす
▲色々な用途に対応
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「電気は、最初は電球という点だった。次に、蛍光灯で線になった。だから次は絶対に面の時代になる。」とする川島社長。さらなるELの展開については、「空間デザインや癒しの効果として光の需要は非常に多彩だ。今後は単に明るさだけではなく、色や雰囲気が求められる時代。メーカーとしてそれらを極め、細かく対応していきたい。」とする。
現在「EL」と名の付くものは、東南アジアなど海外でも製造されるようになっているが、中には耐用年数が極端に短いなど粗悪なものも含まれているという。
エルフィンが誇るのは、独自技術による製品の品質の高さだ。「これだけの水準のものを作っているのはうちだけだと思っています。」と胸を張る川島社長。ELのさらなる普及のために、今後は建築家やデザイナーも交えて新しい用途の提案など積極的な商品開発をしていきたいとしている。
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▲面で光る電気
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