函館・道南では、地元の資源やオリジナルな技術を活用したユニークな企業が数多く活躍しています。
当ホームページでは、それらの企業を取材し、広く全国に向けて発信しています。
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←代表取締役 上加 直樹さん
上加冷機工業(株)は昭和50年に設立し、現在の上加さんで3代目。業務内容は、業務用冷凍冷蔵庫・空調設備の設計や施工、設置機器の提案といったマネジメント業務など多岐にわたる。
前職は営業職であった上加さんは、モノを売ることは得意であったが、機械の施工や施工費の見積りなどの業務は初めての経験だったため、自分の足で現場へ赴き勉強をしたという。
現在は父親である先代が遺した、液体急速冷凍機「ジェイ・クールマスター」の販売に力を入れている。本来、ジェイ・クールマスターは主力となる販売商品ではなく、施工業務に付随するサービス商品という位置付けであったという。営業職で培った経験や技術を活かし、ジェイ・クールマスターを積極的に販売する方向へ転換した。
「上加冷機⼯業(株)」の場所を地図で確認できます。
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創立 |
1975年 |
代表者 |
代表取締役 上加 直樹 |
住所 |
〒041-0801 北海道函館市桔梗町379番地12 函館テクノパーク内 |
TEL |
(0138)46-7701(代表) |
FAX |
(0138)46-8678 |
URL |
https://www.jo-ka.co.jp/ |
従業員 |
15名 |
資本金 |
1,000万円 |
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ジェイ・クールマスターは、先代が6年もの年月をかけて開発した液体急速冷凍機だ。「食品ロスの削減や、旬でない食品を扱いたい」という顧客の声を受け、開発に至った。「工事屋では終わりたくない」というのは、先代がよく口にしていた言葉だ。ジェイ・クールマスターは顧客の思いから生まれた商品なのである。
「上加冷機の冷凍技術」を駆使し、食材の芯温まで凍結させる。マイナス30℃のアルコール液で食材を急速冷凍し、解凍時のドリップを極限まで抑えるのだという。液体は空気に比べ熱伝導が早いため、ムラがなく素早い凍結を実現させた。細胞が壊れる前に、鮮度を維持したまま保存することが可能になるのだ。
「上加冷機の冷凍技術」とはデータの可視化である。他社の液体急速冷凍機では、芯温までの凍結に時間がかかったり、必要以上の低温で凍結させたりと、食材の質を考えない凍結方法をするケースが多い。上加冷機工業(株)では、食材の芯温を測り、凍結するまでに必要な時間と最適な温度を算出している。
ジェイ・クールマスターは凍結中に水が膨張して氷結晶を生成する1℃〜−5℃を、アルコール液を使ったプライン凍結によって20分〜30分の短時間で通過することで、食材の細胞破壊や解凍時のドリップなどを最小限に抑えている。この温度と時間は、先代が1℃ごとに食材が芯温まで凍結する時間を研究し、算出したデータを基に定めたものだ。データという数字の根拠があるのは、まさに努力の賜物である。
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▲JCM200シリーズ
▲JCM100シリーズ
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冷凍した食品の品質を保つために重要なのは、無論冷凍技術であるが、冷凍した食材を解凍する工程も大切なのである。
上加さんは、ジェイ・クールマスターで凍結させた食材を、解凍する製品の開発にも取り組んでいる。ジェイ・クールマスターの母体を使用し、食材の品質を考え流水で解凍をする。機械の中で水を循環させるため、水を出し続ける必要がなく環境にも考慮した製品を開発中だ。上加冷機工業(株)の顧客は企業が主。そのため、冷凍した食品は加工され料理として提供されることが多い。食材の質が重要視されるため、何度もブラッシュアップを重ねている。
業界を見渡しても、冷凍技術は昔からあるが解凍技術はそこまで普及しておらず、ジェイ・クールマスターとのセット販売も視野にいれているという。
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▲−30℃のアルコール液で急速冷凍
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上加さんがジェイ・クールマスターに出会って、1年半。今後は実績を重ねるべく、積極的な販路拡大に取り組んでいく。世間に「ジェイ・クールマスター」を認知してもらうために、企業向けの展示会への出店も予定している。急速冷凍機が流通することで、「食品に対する考えが変わる」という。冷凍食品の売上が年々増加している中で、食品会社とタイアップを行い冷凍食品を売り出すことで、食品ロスが削減されることを期待しているのだ。
代表取締役に就任して以来、探り探りの経営でまさに無我夢中だった。しかしその中でも「楽しさ」があったため続けることができたと語る。
上加さんは現在29歳。この若さで代表取締役に就任したおかげで、素早いレスポンスや積極的な行動を起こすことができるのだ。採用に関してもこれまでは中途採用が殆どであったが、10代の若い人材の育成にも力を入れている。社内に新しい風を吹かせるともに、先代が残した技術や思いを汲み取り、伝統や文化を残しつつ新しい形へと進化しているのである。
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▲伝統や文化を残しつつ新しい形へ
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