函館・道南では、地元の資源やオリジナルな技術を活用したユニークな企業が数多く活躍しています。
当ホームページでは、それらの企業を取材し、広く全国に向けて発信しています。
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省エネルギー。
「これは30年前から私が志向するところです。化石燃料の使用を減らし、快適な生活をつくるための技術開発に取り組む。創業以来一貫して変わらない当社の企業理念でもあります。」と語るのは、阿部社長。
↑代表取締役 阿部 俊夫さん
ボイラー設備の販売で昭和54年(1979年)に創業、大手メーカーの代理店業務で全道への販路を開拓するとともに、独自の技術開発にも積極的に取り組んできた。平成8年(1996年)にはイカごろ(イカ加工後の産業廃棄物)の釣りエサを北海道立工業技術センターと共同開発、平成12年(2000年)には温水パネル暖房機の開発が経済産業省「創造的中小企業技術開発事業」に認定されるなど、新技術の開発にも企業としての力を注いできた。
そして、2009年度「北海道新技術・新製品開発賞」(北海道の事業)において、阿部俊夫社長みずから陣頭に立って開発を進めた「熱源内臓FF式真空パネル暖房機 HPH(ヒートサイフォン・パーマネント・ヒーター)」が大賞を受賞した。真空技術の応用と、効率性・機能性を重視した設計思想が高く評価された。
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創立 |
1979年5月 |
代表者 |
代表取締役 阿部 俊夫 |
住所 |
〒041-0824 函館市西桔梗町213-82
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TEL |
(0138)49-1071 |
FAX |
(0138)49-6246 |
E-mail |
info@kohno-hph.com |
URL |
https://www.kohno.info/ |
従業員 |
10名(2020年12月末) |
年商 |
3億6,700万円(2024年9月期) |
資本金 |
6,000万円 |
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▲北海道新技術・新製品開発賞で大賞受賞。 北海道新聞に大きく掲載された。
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HPHは独自に開発した内蔵バーナーで水を加熱し、発生した水蒸気を真空のヒーターパネル内部に循環させ、水に戻るときに放出される熱を利用して暖房する。
これまでの温水パネル方式では、ボイラーの設置や温水を循環させるための配管が必要で、規模の大小にかかわらず敷設工事には大きなコストが求められた。HPHは熱源を暖房機本体に内蔵しているため、新たなボイラーや配管が不要で簡易に施工できるのが強み。さらに、パイプやボイラーからの廃熱(漏洩損失)を防ぐことで、効率的な省エネ暖房にも効果がある。
「大型施設で採用されているセントラルヒーティング方式は、設置とメンテナンスへの経費もさることながら、20年ほどでやってくる機械的な寿命によって必要となる改修工事に大きな手間とコストがかかります。HPHへの切り替えは、部分的・段階的にもおこなえますから、経費負担を計画的に軽減・分散することができます。」
HPHで採用している真空技術は、暖房効率だけでなく機器の寿命を延ばすことにも成功した。ヒーター内部を真空にすることで、酸素や硫酸(燃焼によって発生する)の腐蝕を抑えることができるからだ。これによって理論上は「寿命は30年になった」と阿部社長は胸を張る。
「効率的な暖房は燃料費の節減となりますし、機器としての長寿命は買い換えコストだけでなく、設置や運搬のためのエネルギーコストをも低減することになります。HPHの開発は、我が社がめざしている省エネルギー社会への具体的提案なのです。」
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▲HPH設置例(地域密着型老人ホーム ぶなの杜-山形県鶴岡市)
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▲HPH設置例(聚富小学校-石狩市)
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「健康型暖房機」
HPHを紹介するパンフレットに掲げられたこの惹句(キャッチコピー)について阿部社長が解説する。
「人間にとってベストな生活環境は、自然の状態であるはずです。だから、なるべく普通の状態を保ち、快適な空間をつくることが理想になります。」
温風による暖房とは異なり、HPHは自然対流を利用して室内を暖めるため、ほこりの浮遊や過度な乾燥を防ぐことができる。また、温度むら(熱源の近くだけ熱いなど)が少ないのも特徴だ。
「空気中のゴミは目に見えるものだけじゃありません。目には見えないゴミ、ウィルスや菌なども存在しています。」
世界規模の流行を見せるインフルエンザのウィルスは、乾いた空気中でもっとも活発になるため、室内の乾燥を引き起こさない暖房は感染対策にも大きな効果を期待できる。
「暖房に対する日本人の考え方を根本から変えていきたいですね。本来、建物はしっかりと外断熱をおこなって、小さな熱量の暖房でも蓄熱できる方が効率が良いわけです。日本ではこれまでそれができていませんでした。オイルショック以降(昭和48年~)、欧米では物理学者や生態学者が『省エネ』を追求して、この暖房思想にたどりつきました。」
役所や学校などの公共空間、医療・介護施設、高齢者用住宅などで、HPHによる自然対流暖房のメリットが大きく発揮されることになる。実際にHPHの効果が評価され、それらの施設での採用が始まっている。
「30年近い研究の成果がHPHです。ここで実現した暖房の技術は世界初のもの。つまり、競合製品がない。北方圏を中心に世界の国々へマーケットが広がる可能性が大いにあると考えています。」
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▲HPH製品紹介パンフレット
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▲コーノの社内に掲示されている 「北方圏」を示すマップ ※クリックで拡大表示されます
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「日本国は化石燃料価格の高止まりにより、地下資源エネルギーから地上再生エネルギーへと転換が必要になってきました。」
この状況下において、コーノは2012年より省エネからゼロカーボンを目指した取り組みを積極的に展開している。
「弊社は30年以上前に、木質チップボイラーシステム等で特許申請しました、特許に未熟で放棄しましたが、今でも良いシステムであると思います。方向性は確かでした。」
同社はその後も仲間とともに木質バイオマスボイラー等に関する研究を継続。2013年には占冠村温泉施設へドイツ製木質バイオマスボイラープラントを納入し、新聞にも取り上げられた。
「5年前当社技術部長がエネルギー先進国のドイツに出向き、10日ほどボイラーメーカー、ペレット製造機械メーカー、地域再生エネルギー完結施設等を廻り、研修視察をしてきております。」
現在では6ヶ所7台の業務用バイオマスボイラーの納入・管理実績を有するまでに至っている。
「地下資源の無い日本国は、最も安定し、豊富な森林資源の活用の必要に迫られております。CO2がゼロのこの資源活用は美しい日本の始まりであると思っております。」
「日本の木材価格は欧米の10倍以上が現実です。今後は日本も造材の技術革新により、欧米の価格に近づいて来ると予想されます。それに伴いチップ等の価格も下がり一般汎用燃料となって来ると確信しております。」
このような展望のもと、コーノはバイオマスボイラーの特性を見極めた対応と更なる研究を進めており、さらに水素燃料の燃焼研究も意欲的に進めている。
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▲湯の沢温泉木質バイオマスボイラー
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